摂食嚥下障害
摂食嚥下障害
摂食嚥下障害って何?
摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害とは、食べ物をうまく飲み込むことができない状態を指します。
摂食嚥下障害があると食事を取りづらくなってしまうため、「低栄養」や「脱水」、「窒息(食べ物が喉に詰まる)」を引き起こしてしまう可能性があります。また、高齢者の方の命を脅かす「誤嚥性肺炎」の原因にもなり得るため、注意が必要です。
誤嚥(ごえん)性肺炎
唾液や食べ物を飲み込むときに、誤って気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。
通常は気管に食べ物などが入ってしまった場合、むせることで気管から異物を排出する反射機能が働きます。
誤嚥性肺炎とは、この機能が鈍ることで排出できなかった異物が肺に入ったままになってしまい、肺の中で炎症が起こることで発症する病気です。
主な症状
その症状、摂食嚥下障害かも
下記のような症状はありませんか?
これらの症状は、ご高齢の方や身体の機能が低下している方、また脳卒中などの後遺症がある方に多く見られます。
症状が多く当てはまる場合は「摂食嚥下障害」の可能性があるため、ご本人だけでなくご家族の方、介護をされている方は、注意して見落とさないようにしましょう。
気になる症状
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- 食べ物を飲み込むときにむせる
- 飲み込んだ後何かが喉に残る感じがする
- 飲み込んだ後に、声がガラガラになる
- 最近、痰が増えてきた
- 微熱が続く
- 体重が減ってきた
摂食嚥下障害の検査
水飲みテスト
水飲みテストは、さらさらした水を30ml飲んでもらい、上手に飲み込めるかどうかをチェックする検査です。
検出力が高い検査ではありますが、「むせる」患者さんに必ず嚥下障害があるという訳ではありません。「むせない誤嚥(不顕性誤嚥)」を見逃すこともあるため、注意して観察する必要があります。
反復唾液嚥下テスト
反復唾液嚥下テストは、患者さんの嚥下時に喉頭(のどぼとけ)が上にあがることを触診で確かめ「30秒間に何回嚥下(飲み込むこと)ができるか」を調べる検査です。
簡単で安全性が高い方法であるため、誤嚥スクリーニング検査や経過観察に適した方法です。
このテストでは、30秒間に3回以上の嚥下があれば正常と判断します。2回以下の場合には、嚥下障害の可能性があります。
嚥下造影検査
すでに嚥下障害が疑われる場合や病態が不明のときには、嚥下造影検査を行います。
嚥下造影検査とは、体の中でも動きが確認できる「造影剤」を入れた検査食を飲み込んでもらい、口・のど・食道をどのように通過するか、嚥下時の全体的な動き、誤嚥の有無、食物が残っているかなどをX線で透視をしながら確認する検査です。万が一誤嚥があった場合には、しっかり自分で吐き出せるかを確認し、不可能であれば吸引を行います。
嚥下内視鏡検査
嚥下造影検査よりも手軽に行うことができ、ご自宅でも検査が可能です。
鼻から入る細くて柔らかいファイバースコープで、喉の汚れの有無や動きを観察します。汚れていた場合には、口と喉のケアを徹底して実施し、喉にたまった唾液を吸引します。
飲み込む力が正常であれば、嚥下する瞬間には画面が白く光り、詳しく中を観察することができません。その為、飲み込む瞬間に白い光を確認することができなければ、嚥下の力が弱っていると判断します。
摂食嚥下障害の治療
栄養管理
口から食物を十分に食べられないと栄養障害や全身機能の低下が生じ、嚥下障害がさらに悪化するといった悪循環に陥ります。
これを回避するため十分な食事を口から食べられない場合には、鼻から胃に入れたチューブや点滴により必要な栄養と水分を補給する栄養管理を行います。他にも、胃にカテーテルと呼ばれる細い管を設置し、直接食事を補給する経皮的胃瘻増設術(PEG)といった手法もあります。
口腔と気道の管理
口腔(口の中)内の雑菌が食物や唾液と一緒に気管に流入することによって起こる「誤嚥性肺炎」を防止するためには、口腔内を清潔に保つことが重要です。
これにはブラッシングやうがいが効果的です。また意図的に咳をすることで、誤嚥してしまった物や痰を排出することも重要です。
食べ物を誤嚥した場合には、気管内の誤嚥物や痰を吸引して取り除きますが、誤嚥の頻度や痰の量が多い場合には、気管切開を行う必要が生じることもあります。睡眠中に唾液の誤嚥が疑われる場合には、就寝時に上体を軽く上げるベッドアップが効果的です。
リハビリテーションによる治療
- 間接訓練
- 唇の開閉、頬の呼吸、ストロー吹き、口すぼめ呼吸などのトレーニングにより、「食べる」「飲み込む」ために必要な筋力をつけます。
- 直接訓練
- 一度に口に入れる量や食べるペース、食べ物の形状を工夫して飲み込みやすくするなど、実際の食事を通して訓練を行います。